磨き上げられた大理石のフロアに、青と白で美しく装飾されたタイルの壁が目を引く大聖堂。高い中央部の大アーチには天使が描かれ、神々しさが溢れている。
ホールには皇族をはじめとした貴族が集まり、皇帝の妻となる女性をひと目見ようと多くの視線が玉座へと続く入口の一点に注がれる。好意的というよりは、むしろ見定めるような厳しいものだ。魔力もないくせに、というのが大半の考えなのだろう。
辺境伯よりも位の高い爵位であればなおさら。エリーヌの出目が元は男爵家だというのも知られており、その点も納得がいかない一因になっている。
しかし養父のエドガーとともにエリーヌが現れると、会場内からため息が漏れた。
白地に青と金の繊細な刺繍を施された婚礼衣装に身を包んだ彼女の姿に、そうせずにはいられなかったのだろう。気品溢れる楚々とした美しさは輝きを放ち、光をあてているわけでもないのに眩しい。
ところがエリーヌは、感嘆のため息を失望のそれと誤って受け取った。
(やっぱり私では分不相応だと思われたのだわ……)
ガラス玉同然の紛らわしい魔石持ちの自分をつい恨めしく思い、委縮する。
(でもここまで来てしまったのだから、もう後戻りはできないの。おじ様への恩返しをしなきゃ)



