皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

ふたりでこうして寝るのも今夜が最後。そう考えると、彼女の望みならなんでも叶えてあげたくなる。血の繋がりはなくても、彼女はエリーヌにとって大切な妹であり家族だ。


「そうね、読みましょう」
「お姉様、ありがとう! 大好き!」


マーリシアが寝転んだままエリーヌに抱きつく。


「私も大好きよ、マーリシア」


できることなら、ずっと近くにいて彼女を支えてあげたかった。

ゆくゆくはマーリシアの婿がヴィルトール辺境伯の爵位を引き継ぎ、エリーヌは結婚してこの家を出るにしても、ランシヨン領内で暮らしていくものと考えていた。明日いよいよここを離れるのかと思うと無性に寂しくなり、エリーヌもマーリシアを強く抱きしめる。


「お姉様、離れても私たちは姉妹だって忘れないでね」
「もちろんよ」


遠く離れようと、それだけは忘れない。


「さあ、読みましょうか」