「だからと言って宮殿を爆破する理由にはならない。次期皇帝として幼い頃から教育を受けてきたアンリに、それがわからないはずはないだろう」
「そんなの知るかっ。好きで次期皇帝として転生したんじゃない。僕は……僕はただミュリエルともう一度出会いたかっただけだ! せめて僕がリオネルより先に転生してれば……そうすれば、エリーヌは僕のものになったのにっ。それなのにどうして! なぜ今生でもマティアスにっ」
行き場のない怒りか、アンリは自分の膝を拳で殴りつけた。振り絞った叫びが、最後にはかすれる。
前世と現世の区別がつかなくなっているように見えた。
その感覚はエリーヌにもわかる。夢から覚めたあとは、自分がミュリエルなのかエリーヌなのか、すぐには判別できないときがあった。
だが、エリーヌは紛れもなくリオネルの妻である。ここは転生前の世界ではないのだ。
リオネルがノーマンドの生まれ変わりではないと知ったから、そう考えられるわけではない。現にエリーヌの気持ちは、その事実を知る前から変わっていないのだから。
「アンリ様、ここはノーマンドとして生きていた世界ではないのです。アンリ様は陛下とは母親違いのご兄弟、手を携えてミッテール皇国を盛り立てなければならない立場ではないですか」
「綺麗事を言うな! いくら転生しようが魂は同じ。その記憶はどうしたって消せやしない!」
「そんなの知るかっ。好きで次期皇帝として転生したんじゃない。僕は……僕はただミュリエルともう一度出会いたかっただけだ! せめて僕がリオネルより先に転生してれば……そうすれば、エリーヌは僕のものになったのにっ。それなのにどうして! なぜ今生でもマティアスにっ」
行き場のない怒りか、アンリは自分の膝を拳で殴りつけた。振り絞った叫びが、最後にはかすれる。
前世と現世の区別がつかなくなっているように見えた。
その感覚はエリーヌにもわかる。夢から覚めたあとは、自分がミュリエルなのかエリーヌなのか、すぐには判別できないときがあった。
だが、エリーヌは紛れもなくリオネルの妻である。ここは転生前の世界ではないのだ。
リオネルがノーマンドの生まれ変わりではないと知ったから、そう考えられるわけではない。現にエリーヌの気持ちは、その事実を知る前から変わっていないのだから。
「アンリ様、ここはノーマンドとして生きていた世界ではないのです。アンリ様は陛下とは母親違いのご兄弟、手を携えてミッテール皇国を盛り立てなければならない立場ではないですか」
「綺麗事を言うな! いくら転生しようが魂は同じ。その記憶はどうしたって消せやしない!」



