皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

ともにきっぱり告げ、エリーヌとリオネルは頷き合った。
エリーヌに、前世など関係ない。今、胸にある想いはリオネルを求めているのだ。


「ふたりともふざけるな!」


アンリの怒号に満ちた声がこだまする。


「いつもそうだった。リオネルは僕が欲しいものをことごとく奪っていく。皇帝の座だって、エリーヌだって。ミュリエルもそうだ」
「……ミュリエル?」


リオネルが訝しげな目をしてアンリを見つめる。


「ああ、そうだよ。ずっとずっと昔からそうだった。婚姻を申し込もうと思ったときには、すでにマティアスと……」


(えっ、どういうこと? アンリ様はマティアスの生まれ変わりではなかったの?)

アンリはハッとしたように目を見開き、視線を彷徨わせる。意図せず言ってしまったような仕草だった。


「アンリ、お前はノーマンドの……」