皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

「ノーマンド……。ミュリエルとマティアスの仲を裂こうとした人物だね」


エリーヌの見た夢とアンリの前世の記憶は完全に一致していた。

(こんなことって、ある……?)

古来より言い伝えられてきた輪廻転生が事実だと知ったうえ、前世の記憶まで持って生まれたなど。にわかには信じがたい話は、アンリとの答え合わせで揺るぎないものとなる。


「アンリ様は、マティアスなのですか?」


先ほどスルーされた質問を、より明確にして尋ねる。
アンリの瞳が一瞬揺らいだ。


「……そうだよ」


エリーヌはゆっくりと息を吐き、気持ちを落ち着かせる。

夢で見たマティアスの生まれ変わりが今、目の前に――。

アンリの様子から、もしかしたらそうなのではないかと予想したが、はっきりと明言され胸が熱くなる。

(アンリ様が、あのマティアス。後を追って命を絶った、ミュリエルの愛する人――)