「ランシヨンではいつもそうだったのだけど、なにかおかしいの?」
「おかしいです! たったの数日で花壇に花が咲き乱れるなんてあり得ませんから!」
「では、祈りを込めて撒いた甲斐がありました。陛下のお許しが出たら、私も見に行きたいわ」
「ぜひ!」


できれば今すぐ見に行きたいが、昨日の今日ではおとなしくしていたほうがいいだろう。リオネルにあまり心配をかけたくない。


「ところでアガット、ひとつ聞いてもいい?」
「はい、なんでしょうか」


アガットはエリーヌが座る椅子のそばに立った。


「愛しいって、幼い子どもに対して抱くような感情よね?」


庇護欲と説明すればいいだろうか。守りたいなどといった意味合いだ。

もともとリオネルとは六歳離れているため、彼にとってエリーヌは妹みたいなものなのかもしれない。だから彼の口からそのような言葉が出てきたのではないかと考えていた。