(だが……)

オスカーは本当に関わっているだろうか。
なにかが引っ掛かり、思考がすっきりと晴れない。
釈然としないのは、痕跡が宮殿にないからなのか。それとも自分でもわからないべつのもののせいなのか。

判然とせず、ざわつく胸を押さえながらリオネルは翡翠宮をあとにし、魔石研究所のダリルを尋ねた。


「これは陛下、なにやら難しい問題でも抱えておりますかな? お顔が険しいですね。今日はどのようなご用件で?」
「ちょっとダリルと話がしたかっただけだ」
「それは光栄ですね。ささ、こちらへどうぞ」


ダリルはルーペを外し、リオネルにソファを勧めた。


「さて、なんの話をしましょうか」
「ひとつ聞きたいことがある」


そう言ってリオネルは、神妙な顔つきで切りだした。