皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

どうしてそんな素直な言葉がするすると口をついて出てくるのだろう。リオネルは不思議でならない。


「とにかくよかった」
「……ありがとうございます」


エリーヌから徐々に強張りが解けていくのを感じながら、リオネルは彼女を抱きしめた。

しかし、いつまでも彼女のぬくもりに浸っているわけにはいかない。


「エリーヌ、申し訳ないが、ちょっと出てくる」
「はい、私は大丈夫ですので、どうかご心配なさらずに」
「夜には戻る」


最後にエリーヌの手をぎゅっと握り、リオネルが部屋のドアを開けると、すぐ目の前にアガットがいた。


「あっ、皇帝陛下、失礼いたしました」


ぴょんと一歩下がる。エリーヌが心配でたまらず、ずっと張りついていたのだろう。


「エリーヌ様のご容態はいかがでしょうか」


手を胸の前で握り、不安そうに瞳を揺らす。