皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

「――アンリ様!」
「うっ!」


セバスカルがそう叫ぶのと、アンリが呻き声を上げるのはほぼ同時だった。
炎の矢がアンリの肩先をかすめ、彼が蹲る。


「アンリ様!」


荷物を放り投げ、ニコライとセバスカルが彼の元へ駆け出すと、さらにもう一本の矢がアンリ目がけて飛んできた。


岩の壁(ロックウォール)!」
葉の刃(リーフカッター)!」


ニコライがアンリの周りを岩でガードし、セバスカルが無数の刃で炎の矢を打ち落としにかかる。さすがに葉では炎に太刀打ちできずパラパラと空で散ったが、ニコライの放った魔法で炎の矢は跳ね返され地面に落ちた。


「アンリ様!」
「あっ、エリーヌ様! お待ちください!」


アガットの声を振り切り、エリーヌは弾かれたように走りだす。

(嘘……いったいどうして……!)