皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

(ニコライ様、さすがだわ)

そう思ってはいても、なかなか強く言えないエリーヌはニコライの計らいに心の中で感謝した。


「承知しました。ニコライ殿のおっしゃる通りです」


一瞬だけ顔を翳らせたが、オスカーも納得したようだ。
これで贈り物の対応に苦慮することもなくなるだろう。


「ところで最近、アンリ殿が妃殿下の居室に出入りしているのだとか」


そんな話がオスカーの耳にまで届いていたらしい。心なしか彼の表情が険しくなる。


「はい、お忙しい勉強の休憩時間に少しだけ。一緒に本を読ませていただいております」
「本ですか。ずいぶんと仲良くされていると聞いておりますよ」


どことなく嫌味混じりに聞こえるのはエリーヌの勘違いだろうか。

オスカーの贈り物は拒絶するのに、アンリの訪問は歓迎するのかと理不尽に感じたのかもしれない。だとすれば、ごもっともでもある。