翌日、エリーヌの姿は瑠璃宮の庭にあった。
リオネルが手配してくれた花の種をまき、花壇を蘇らせるためである。
今朝、リオネルが寝室をあとにするときには、昨日約束したサシェを贈った。
彼はそれを胸ポケットに忍ばせ、『香りを嗅いで寝ないようにしなくてはな』と微笑んだ。
公務の合間に少しでも安らぎになればと願わずにはいられない。
「やはり私がやりますので、エリーヌ様はご指示だけをしてください」
「そういたしましょう。私も手を貸しますので」
アガットがそう言えば、警護のニコライも同調する。
「おふたりのお手はお借りしますが、私もしっかり働かせてください。そもそも花壇を造りたいと言ったのは私ですから」
ランシヨンにいたときには毎日のように花壇や庭の手入れをしていたから、おそらくふたりより慣れているだろう。
作業をするためにエプロンドレスにも着替えている。監督の役割では楽しさも半減だ。
アガットとニコライは顔を見合わせ、頷き合った。



