皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

「ダリル様、あちらにも本棚があるのですか?」
「あ、あぁ……あそこは残念ながら本ではなく古道具がね。片づけが苦手なもので、つい奥に押し込んでしまうんだ」


ダリルが肩を上下させておどける。


「では私が片づけをお手伝いしましょうか?」


公務がはじまっていない今なら時間はたくさんある。片づけも苦ではない。


「いやいや、皇妃であるエリーヌ殿に荷物の整理などさせられないよ。陛下のお叱りを受けたくはないからね」


ダリルの手伝いであればリオネルの了解も容易く得られるとは思うが、そう言われてしまえば強くは出られない。なにか大切なものもあるかもしれず、部外者のエリーヌは手を出さないほうがいいだろう。


「わかりました。では、ほかになにか私にできることがあれば、遠慮なくおっしゃってくださいね」
「ありがとう、エリーヌ殿。そのときはよろしく頼むよ」
「はい。お任せくださいませ」


ダリルの要請に快く頷いた。