皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

この中のどれかに、魔力を持たない魔石に関する文献があるはずという期待と、あってほしいという願いが入り混じる。


「本の話ではないんだがね」


ダリルがハハッと笑う。


「おふたりの仲睦まじい姿を見てワクワクしたのだよ」
「えっ?」
「皇帝と皇妃が仲良しなのは国が明るい証拠。ますます発展するでしょうな」


満面の笑みを浮かべるダリルだが、エリーヌはなんとも言えず恥ずかしくて俯く。
しかしふたりの関係は夫婦の仮面を被った、いわば〝同志〟。そこにそこはかとなく切ない想いが滲むのはなぜなのか。

(だけど、周囲のみなさんにそう見られているのは、陛下の計画が予定通りに進んでいる証よね。喜ばなくちゃいけないわ)

エリーヌは顔をぐっと上げ、ダリルに微笑み返した。


「ありがとうございます。陛下はとてもお優しい方で、毎日とても穏やかに過ごせています。それに……」