皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

ダリルは大きなお腹をさすりながら目尻を下げる。その眼差しが、一瞬だけふたりのバングルにさっと注がれた。
魔石研究者として珍しい魔石が目の前に揃い、気にならずにはいられないのは仕方がない。


「エリーヌ、帰りは馬車を手配しておくから、悪いがそれに乗って帰ってくれ」
「悪いだなんて全然ございません。お気遣いありがとうございます」


帰りの心配までするリオネルに頭を下げる。


「それからダリル、近々少し時間をとってもらいたいのだが」
「承知いたしました。いつでもお待ちしております」


リオネルとともにリオネルを見送り、次の本を選ぶために書庫に入る。

(次はどの棚の本を読もうかしら……)

壁一面に設けられた書棚にはまだたくさんの本がある。タイトルに魔石とあるものを中心に選んでいると、ダリルが入室してきた。


「なんだかとてもワクワクしますな」
「ええ、本当に。結構たくさん読んだはずなのに、ほかにも魔石関連の本がたくさん」