皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

「よし、それでいいだろう。たてがみに掴まって」
「捕まっても大丈夫なんですか?」


痛いのではないかと心配する。


「平気だ」
「わかりました。ちょっとごめんね」


金色のたてがみに恐る恐る触れ、軽く掴んだ。絹のように柔らかくサラサラだ。

(だけど、まだちょっと怖いかも)

多少心強くはなったものの、馬が動いても安定を保てるかは怪しい。
不安になっていると、リオネルの片腕が不意にエリーヌの腰に巻かれた。


「嫌かもしれないが、振り落とされるよりはいいだろう」
「嫌だなんて全然」


大急ぎで否定すると、リオネルは微かに笑みを浮かべながら腕の力を強めた。
背後から抱かれるような体勢がエリーヌの鼓動を跳ね上げる。背中にリオネルを感じて頬が熱い。


「行くぞ」