皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

「普段は自分から私以外の人間に身体を触らせないんだが」


リオネルが少し驚いたように目を瞠る。


「そうなんですか? では受け入れていただいたのでしょうか」
「そのようだ。彼もよろしくと言ってる」
「うれしいです」


馬は賢いと聞くから、エリーヌが皇妃だと心得ているのかもしれない。


「では参ろうか」


リオネルは長い足を巧みに使い、馬の背にひょいと飛び乗った。


「私もここに乗るのでしょうか……?」
「そうだが?」


小首を傾げ、リオネルが訝しむ。


「申し訳ありません。お恥ずかしい話なのですが、乗馬の訓練をしっかり積んでおらず……」
「そうか。だが案ずるな。私と一緒ならば平気だ」