皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

「また本を借りに行くのだろう?」
「はい、そのつもりでおります」


ダリルの書庫にはまだたくさん魔石関連の本がある。その中に、もしかしたらダリルの目にも留まっていない見識があるかもしれない。些細なものでもいいから、エリーヌは無色透明の魔石に関するヒントを見つけたいのだ。

それがリオネルにとって有益なものだったらいいのにと願わずにはいられない。魔力がないかわりに、エリーヌなりにサポートしたいと考えていた。


「では一緒に参ろう」
「はい?」


(陛下と一緒に……?)


「下で待っている」


リオネルはエリーヌの返事も待たずに踵を返す。


「しょ、承知いたしました」


リオネルが閉めたドアに返事をし、エリーヌはふぅと息を吐き出してからアンリの視線に気づいてハッとした。
夫婦なのだから行動を共にするのはおかしくないのに、あからさまに挙動不審になってしまった。