(もしかしたら今日もかしら)
そう予感してすぐ、応対したアガットの脇をすり抜けて男の子が入ってきた。
「エリーヌ、今日も来ちゃった」
屈託なく笑うのはリオネルの異母弟のアンリ、十二歳である。亡き前皇妃の子であり、本来であれば皇帝になっていたはずの皇位継承権第一位であった皇太子だ。
リオネルと同じく銀髪なのは、上皇の血を受け継いでいるのだろう。少し癖毛なのと丸く大きな目元が、人に優しげな印象を与える。
「アンリ殿下、今日も抜け出していらしたんですか?」
「人聞きが悪いことを言わないでくれない? ちゃんと勉強は終わらせてきたし」
アンリは抱えていた本をテーブルに置き、エリーヌの向かいのソファに腰を下ろし背もたれに体を預けた。
彼の左手首に巻かれているのは、氷属性である水色の魔石のバングルだ。
彼が暮らす翡翠宮は、ここ瑠璃宮とは隣り合っている。それぞれ敷地は広いが馬を走らせるほどではなく、歩いて行き来ができる距離だ。そこでは上皇も生活を共にしている。
そう予感してすぐ、応対したアガットの脇をすり抜けて男の子が入ってきた。
「エリーヌ、今日も来ちゃった」
屈託なく笑うのはリオネルの異母弟のアンリ、十二歳である。亡き前皇妃の子であり、本来であれば皇帝になっていたはずの皇位継承権第一位であった皇太子だ。
リオネルと同じく銀髪なのは、上皇の血を受け継いでいるのだろう。少し癖毛なのと丸く大きな目元が、人に優しげな印象を与える。
「アンリ殿下、今日も抜け出していらしたんですか?」
「人聞きが悪いことを言わないでくれない? ちゃんと勉強は終わらせてきたし」
アンリは抱えていた本をテーブルに置き、エリーヌの向かいのソファに腰を下ろし背もたれに体を預けた。
彼の左手首に巻かれているのは、氷属性である水色の魔石のバングルだ。
彼が暮らす翡翠宮は、ここ瑠璃宮とは隣り合っている。それぞれ敷地は広いが馬を走らせるほどではなく、歩いて行き来ができる距離だ。そこでは上皇も生活を共にしている。



