皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

アガットが顔をぱぁっと輝かせる。


「もちろんよ」


エリーヌは読みかけの本にしおりを挟み、キャビネットの引き出しからエリーヌと同じものを出し、彼女に差し出した。


「どうぞ」
「わぁ、ありがとうございます!」


鼻に近づけて息を吸う。


「甘くていい香りがします。中身はなんですか?」
「バラとタイムよ」
「バラ! 本当にいい匂い。見た目もかわいらしいですよね」
「ほかにもローズマリーやカモミールもあるから、よかったらいつでも言ってね」


アガットがものすごく喜ぶため、エリーヌまでうれしくなる。

ストックはそれほど多くないが、リオネルから花壇の使用許可ももらえたし、花が咲いたらまた作れると心が弾む。

読書に戻ったエリーヌが最後のページを読み終えたときだった。部屋をノックする音に顔を上げる。