皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?


リオネルと朝食をとり、自室に戻ったエリーヌはいつものごとくソファに座り、ダリルから借りた本を読みはじめた。


「エリーヌ様のお召し物って、なんだかとてもいい香りがしますよね。エリーヌ様のお体からなにか発せられているのでしょうか」


衣装部屋の掃除をしていたアガットが、不思議そうに尋ねる。


「アガットったら。私はなにも発していないわ」
「ではどうしてでしょう」
「もしかして、これかしら」


顎に手を添えて悩むアガットに、エリーヌは忍ばせていた小袋を胸元から取り出して見せた。


「まぁ、サシェですか?」
「ええ」


エリーヌはお気に入りの香りのサシェを、密かにコルセットに忍ばせている。リオネルの枕に入れたものより小さなものだ。


「素敵。とってもいい香りですね」
「アガットもよかったらどう?」
「よろしいんですか!?」