皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

「それに陛下の体調管理は私の役目でもありますから」


エリーヌは、お飾りとはいえ妻である。五年間という限られた時間だけでも、その役割は果たしたい。
リオネルはわずかに目を細めて微笑んだ。


「あの、陛下、ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか」
「なんでも聞いてくれ」


遠慮がちに尋ねたが、サシェのおかげでよく眠れたせいか、普段威圧感のあるリオネルの雰囲気が和らぐ。


「瑠璃宮の庭にはお花を植えないようにしているのですか?」
「花を植えないように? いや、そのような決まりはないが」


なぜ?とその目が言っているため、エリーヌは続けた。


「では空いているスペースに花壇を作ってもいいでしょうか?」
「もちろん、好きに使うといい。私の母も生前、花を育てていたものだ。亡くなってからは世話する者がおらず、放置した結果枯らせてしまったがね」
「そうだったのですか」