その執着は、花をも酔わす 〜別れた御曹司に迫られて〜

「耳に髪をかける仕草は、君が嘘をつくときの癖だ」

「……え!?」
思わず耳に触れる。

「やっぱり気づいてなかったのか」
彼は「あはは」と可笑しそうに笑った。
「その癖のおかげで、結婚もしていないし、決まった相手もいないんだとすぐにわかった」
「そうだったの……」
「嬉しかったよ」
なんとなく悔しくて、つい不満げな顔をする私に彼が笑う。

「久しぶりにあの人に会ってわかったの。意識していたわけではなかったけど……きっと辛くて悔しかっただけじゃなくて、いつかこうやってあの人を見返したいってずっと思ってたんだ、って」
彼の目を見る。

「つまり……いつかまたこうやってあなたの横に立つ日が来ることを、どこかで願ってたってことよね。七年間も」

彼を思い出してしまうアルコール業界から離れなかったのも、きっとそれが理由。

「あなたにこだわって、執着していたのは私の方」
気恥ずかしくて眉を下げて笑う。

「舐めてもらっては困るな。執着なら俺も負けない」

そう言って笑うと、私たちはシャンパンで乾杯した。

「もう絶対に離さないから」

それから、甘く酔いしれるような口づけを交わす。


fin.