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『成貴は納得してくれました。現にこの場に来ていないでしょう? あの子には、相応しい家柄の許嫁がいるんです』
◇
『碇くんの乗った飛行機はもう出てしまったそうだよ』
『え? だって夕方の便にしたって』
『婚約者と一緒らしいから、花音には会いたくなかったのかもな』
◇
嫌な記憶。
さっさと忘れてしまいたいのにまた夢に見るなんて、最悪の気分。
「ん……」
うっすらと目を開けて、朝が来ていることを確認してまた目を閉じる。
だって今日は土曜だからまだ寝られる……と思ったところで違和感でパチっと目を開ける。



