【短】八橋くん、私にかまわないで…!

 昔から人付き合いが苦手だったわけじゃないのに、いつから人と目を合わせるのもしんどくなったのかと聞かれると、めいかくには答えられない。

 でもやっぱり、小学生のころにいちばん仲がよかった子と離ればなれになってしまってから、人付き合いがしんどく感じるようになった気がするなぁとは思う。

 いまはすっかり、人と仲良くするのも、人と接すること自体も苦手になってしまった。




『はい』




 玄関の扉を開けて応対すると、マンションの通路には4人の男女が立っていた。

 ズボンやスカートに革靴、全員がブレザーの制服を着ているのを見て、体が固まる。




『あ、布谷さん?こんにちは。僕、3組の八橋友哉って言うんだけど』




 八橋、友哉…?

 高めの、さわやかな声を聞いて、とっさに顔を上げてしまったのは、よくなかった。