【短】八橋くん、私にかまわないで…!



 食べかけのパンを乗せたお皿をお母さんのほうにずずいと押すと、お母さんはあからさまに眉をひそめた。




「お母さんだってサンドイッチ食べてもうおなかいっぱいなの。つぐみが食べなさい」


「じゃあ夜、お兄ちゃんかお父さんにでもあげてっ」


「えー?」


「ラップかけとくから…!」




 私はお皿を持って立ち上がり、キッチンに戻ってパンにラップをかける。

 それから冷蔵庫にお皿をしまって、一息ついた。

 まさか八橋くんがこんなことまでしてくるなんて…。


 びっくりしすぎて、心臓が飛び出るかと思った。




 午前中寝てしまったぶん、私はお風呂掃除を買って出て、せっせと浴槽を洗っていた。

 しゃがみこんで泡のついたスポンジを壁にこすりつけていると、おなかがぐぅ~っと鳴って、眉を下げる。

 おなかすいた…。