【短】八橋くん、私にかまわないで…!

 その顔が、はじけるような笑顔に変わるのも。




「そっか…そっか!よかった、仲直りできて!」




 よろこびに満ちた声を聞いて、くすぐったくなる。

 友哉くんはこっちに近づいてくると、ふわっと私を抱きしめた。




「えっ…!?」


「僕、本当にいまでもつぐみちゃんのことが好きなんだ。赤の他人も、ただの友だちも、たえられない」




 耳元で聞こえる声が、太鼓をたたくバチのように、ドンドンと私の心臓を刺激する。

 ぶわっと顔が熱くなって、視線が泳いで、力の抜けた手じゃ押し留めておけなくなった扉が、きっと友哉くんの背中に当たってしまった。




「つぐみちゃん、僕の彼女になってほしい」


「えっ、えっ…!?」


「ごめんね、こんな強引なのよくないってわかってるんだけど、彼女になってくれるまで離してあげられそうにない。好きだよつぐみちゃん、大好き」