【短】八橋くん、私にかまわないで…!



「友哉くん、つぐみのこと待ってるって」


「し、知らないっ…」




 待たれたって、なにもできない。

 あきらめてはやく帰ってくれることを願いながら、私は布団をかぶった。


 八橋くんが家に来てから1時間は動けなかったけど、お母さんに呼ばれて、そろそろと洗濯物をたたんだり、干したりするのを手伝った。

 そのあと、リビングで勉強をしているうちにお昼になって、私は一旦、勉強道具を部屋へ片付けに行く。

 カーテンを閉めたままで部屋がうす暗いから、軽い気持ちでカーテンを開けると、外に人影が見えた。




「っえ」




 家の前に立っている人が見覚えのある容姿だと気づいてすぐ、私はシャッとカーテンを閉める。

 リビングで時間を確認したばかりだけど、私はベッドの上のデジタル時計を見て、あれからゆうに4時間が経っているのをあらためて確認した。