【短】八橋くん、私にかまわないで…!



 友哉くんの笑顔が頭にちらついた。




[ちがうクラスなのにプリントを届けに行ったのも、つぐみちゃんとおなじ名前でちょっと気になったから。住所がちがうし、本人だとはあんまり思ってなかったんだけど]




 友哉くんも、一緒だったんだ…。

 私だって、気づいたんだ。




『ごめんね、つぐみちゃん』


『いやだよ友哉くん、行かないで…!』


『…』




 あのとき、友哉くんも泣きそうな顔をして、私を抱きしめた。

 このまま離れたくないって思ったけど、友哉くんは私を離して行ってしまった。

 あれから数日、私は部屋から出られないくらい泣き続けていたっけ。




[昔の縁にすがるのもなさけないけど、もう一度だけ会ってくれないかな?つぐみちゃん。どんな嘘をついてもいい、エイプリルフールに]