【短】八橋くん、私にかまわないで…!

 けっきょくあのあと、お母さんがあらためて応対して、プリントを受け取ってくれたんだっけ。

 あれから八橋くんはなぜか、毎日家に来るようになって。

 最初は何度もちょくせつはなしたいって、お母さんづてに言われたけど、断り続けていたら手紙が届くようになって。


 もう学校も終わって、春休みになったのに、いまだに毎日家へ来ては、郵便受けに手紙を残していくみたい。

 そもそもちがうクラスで執着する理由なんてないんだし、謝罪の言葉ならもうとっくに受け取って、[大丈夫だから、もうかまわないでください]と返事の手紙も出したのに。

 正直、八橋くんがなにを考えているのかわからない。




「本当、かんべんしてほしいなぁ…」




 私は立ち上がってシャワーの水を出し、浴槽のなかの泡を洗い流した。