「でも……、蓮花さんは大丈夫なんですか?」
「なにが?」
「蓮花さんだって、魔女の《心臓》を狙われる危険がありますよね。大上さんが仕事でそばにいられないときは、どうしてるんですか?」
蓮花さんには大上さんがいるけど、NWIの任務もある大上さんは、ずっと蓮花さんについてはいられない。
私を助けに来てくれたときみたいに遠出するときもあるし、時には泊まりで張り込むこともあるらしい。
そういうとき、蓮花さんはどうやって自分の身を守っているんだろう。もし何か秘策があるなら、今後のためにも知っておきたい。
そう思って訊ねたら、蓮花さんがクスッと笑った。
「ああ、そうね。何年か前は、私も狙われかけたことがあったんだけど、今はもう大丈夫なの」
「え……? どうしてですか?」
「私の《心臓》には、もう特別な力がないから」
「え? 魔女の《心臓》の力は永遠じゃないんですか?」
「そうよ。魔女が《心臓》の力を保ち続けるためには、条件があるの」
「どんな……?」
「それは……、またの機会に教えてあげる」
蓮花さんはそう言うと、ふふっと少し意味ありげに微笑んだ。