「それも、わかってます。さっきも言ったけど、おれは瑠璃がいればそれでいいんです。だから、これからもできる限りあなたのそばにいます」
稀月くんの手が私の髪をふわりと撫でる。
稀月くんの琥珀色の瞳に愛おしそうに見つめられて、胸の奥がきゅっとなる。
少し前までは、私のことなんてなんとも思っていないような顔をして隣にいたくせに。今、私を見つめる稀月くんの瞳は、まるで別人みたい。
私が顔を火照らせながら小さくうなずくと、稀月くんがふっと笑う。
「そろそろ、移動しましょうか。これ、片付けてくるので待っててください」
稀月くんはそう言うと、食べ終わったトレーを持って速足で歩いて行った。その背中をぼんやりと見送っていると、ふいに、後ろから肩を叩かれた。
「おまえ、魔女だな」
少しざらついた低い声。ドキリとして振り向くと、そこには金髪の男の人が立っていた。
私よりも少し年上だろうか。耳にはたくさんのピアスがついていて、右の目の上にも銀のピアスがひとつついている。
なんだか少し、怖い雰囲気だ。
そんなふうに聞いてくるってことは、この男の人は使い魔か魔女——?
もしかして、Red Witchと関係ある——?
なんて答えたらいいの。稀月くんが戻ってくるまでは、なにも言わないほうがいいのかな。
でも、蓮花さんにもらった香水で私が魔女だということは気付かれないんじゃなかったっけ。
謎の男に声をかけられて、頭の中がパニックになる。



