月夜の黒猫は、心を攫う


 しばらく待っていると、私たちが注文したものがカウンターに出てくる。

 私が頼んだのは、ポテトとファンタ。稀月くんが頼んだのは、ハンバーガーとポテトのセット。

 トレーに載せて準備されたものを、稀月くんがテーブルまで運んでくれる。

 初めて食べるファーストフード店のポテトは、椎堂の父が気に入っていたステーキハウスで出てくるポテトよりも塩っからい。

 だけど、なんだか、また食べに来たくなるような味だった。それを伝えたら、

「瑠璃が椎堂家で食べてたものに比べたら、全然ヘルシーじゃないですけどね」

 と、稀月くんは苦笑いした。

 ハンバーガーやポテトを食べながら、私と稀月くんはそれぞれのクラスがどうだったか話した。

「友達は……、すぐにできるかはわからないけど、沙耶ちゃんがいろいろ教えてくれるから安心だよ。稀月くんは、友達できそう?」

 前の学校での稀月くんは、私の護衛ばかりで友達を作ることなんてできなかっただろうから、新しい学校ではプライベートを楽しんでほしい。

 そう思ったのだけど……。

「おれは別に、友達とかいりません。瑠璃がいれば、それでいいので」

 環境が変わっても、稀月くんは相変わらず自分のことには無頓着だ。