稀月くんの言っていたとおり、学校の最寄り駅の近くにはショッピングセンターやカラオケ、ファーストフード店、コーヒーショップなど。寄り道するには充分なくらい、いろいろなお店があった。
「どこに行きます?」
「稀月くんはどこがいい?」
「おれは、瑠璃が行きたいところならどこでも」
行き先の決定権を委ねられて、どうしようか……とすごく迷う。
椎堂家にいた頃は、どこに行くにも車での送り迎えが当たり前だったから、わたしはこういう駅前の繁華街には来たことがない。
外食をする店は、父や母が行きつけの高級レストランがほとんどで、ファーストフード店やコーヒーショップにも入ったことがない。
できることなら片っ端から全部入ってみたいけど……。そういうわけにもいかない。
「じゃあ……、稀月くんが言ってたみたいにポテトを食べようか」
私が、テレビのCMでしか見たことのないファーストフード店を指差すと、「いいですよ」と稀月くんがうなずく。
入ることに決めた店は、結構混んでいて、私たちみたいな制服の高校生があちこちにいた。
店に初めて足を踏み入れた私は、稀月くんの制服の背中をつかんできょろきょろとする。
私と違って、稀月くんはこういう店にも慣れているらしい。
私に食べたいものを聞くと、スマホのアプリのクーポンを店員に見せたりしながら、注文と会計を済ませてくれた。



