「ありがとう。よかったら、仲良くしてもらえたら嬉しい」
勇気を出してそう言うと、香坂さんが「もちろんだよ」と明るく答えてくれて嬉しくなった。
「あたしのことは沙耶って呼んで。よかったら、宝生さんの連絡先教えてほしい」
「沙耶ちゃん……。私も瑠璃って呼んでほしい。連絡先……」
交換しよ。
スマホを出そうとしたとき、ふと、今朝家を出る前に蓮花さんから受けた注意を思い出した。
そういえば、新しい学校の子と連絡先を交換するときは、稀月くんに相談しなきゃいけないんだ。
「交換したいんだけど……、ちょっと待ってもらってもいい? 稀月くんに聞いてみないと……」
「え、宝生くんて、あんな感じで、束縛強い系?」
私の言葉に、沙耶ちゃんが意外そうに目をみはる。
「あんな感じって……?」
「クールっていうか、あんまり人に興味なさそうな子なのかなあって。でも、瑠璃のことは大好きなんだね〜」
「だ、大好きかはわかんないけど……」
「いいよ、いいよ。連絡先交換は、あとで宝生くんに確認してからにしよう」
私が顔を赤くすると、沙耶ちゃんがからかうようにニヤリと笑う。そんなところも、沙耶ちゃんは千穂ちゃんに似てる気がする。