「夜咲くん、オオカミが好きじゃないからって、その説明は雑すぎ」
「でも、ほんとうのことなので」
すんっとした顔で口を閉ざした稀月くんは、それ以上詳しい説明をするつもりがないらしい。
オオカミが好きじゃないって、どういうことだろう。
稀月くんは、大上さんに対してときどき呆れ口調で話したりはしていたけど。仲が悪そうな感じはしなかった。
烏丸さんの言うオオカミは、大上さんのこととは違うよね……?
「あの、烏丸さん。どういうことですか」
無表情で黙ってしまった稀月くんの横顔を気にしながら訊ねると、烏丸さんが苦笑いのまま肩をすくめる。
「ああ、つまり。夜咲くんが今言ったのは、使い魔の属性のことだよ。魔女を守る使い魔の属性は大きく分けて、『狼』、『猫』、『烏』、『蛇』の四つ。その属性は、使い魔の能力によって分けられる。たとえば、属性が『猫』の夜咲くんは、耳がいいし、夜目も効く」
「じゃあ、大上さんの属性は……」
「見たらわかると思うが、『狼』だな」
なるほど。属性と性格がどれくらい関係があるのかわからないけど、大上さんが犬っぽく見えるのはそのせいだったんだ。
そう言われたら、稀月くんも、あまり他人に心を許してない感じとか、立ち振る舞いが、月夜が似合う猫みたいだなって思ってた。
「属性が四つってことは、烏丸さんは……?」
「俺は『烏』、ちなみに、君を狙っている戸黒の属性は『蛇』だよ」
烏丸さんに言われて、烏丸さんも戸黒さんもそれぞれの属性のイメージによく合っているなと思う。
烏丸さんは、出会ったときから知的な雰囲気が感じられたし、戸黒さんのことは、三白眼気味の冷たい目がまるで蛇みたいで怖いなっていつも思っていた。
説明されると、いろいろと腑に落ちることが多い。



