月夜の黒猫は、心を攫う


「昨日の夜の事件や私が襲われそうになったのも……」

「Red Witchが絡んでる。まあ、昨日の夜の事件は戸黒とは別のグループの仕業だったみたいだけどな」

「そうだね。おれや烏丸さんは、魔女を狙う犯罪を専門に扱うNWIっていう機関の職員」

「警察の人ってことですか?」

 私が訊ねると、

「そう。世間一般には公にはされてないから、何らかの事件に巻き込まれた魔女や使い魔にしか素性は明かさないのが決まり」

 と、大上さんが言葉を濁して笑う。

「稀月くんはワケあって、五年前からアルバイトとしていろいろと手伝ってくれてて……。今回も、瑠璃ちゃんが狙われてる可能性があるってわかって、半年前から椎堂家に侵入してくれてたんだよ」

「そう、なんですか……」

「そうだよ。稀月くん、瑠璃ちゃんが六歳のときに椎堂家に引き取られたあとも、ずーっと瑠璃ちゃんのことが――」

「イヌガミ、しゃべりすぎ」

 稀月くんが、にこにこしながら話していた大上さんの言葉を遮る。

「稀月くん、俺、君よりも年上〜。それに、イヌじゃなくてオオガミだから!」

 稀月くんに睨まれた大上さんは、不服そうに頬を膨らませた。

 そのとき、座席に置いていた私のスクールバッグの中でブブッとスマホが震えた。

《お姉ちゃん、今日は満月だよ》

 スマホに届いていたのは、茉莉からのメッセージ。

 病室の窓から撮ったのか、夜空に浮かぶ小さな満月の写真が送られてきている。

 ふと車の窓に顔を向けると、稀月くんが私の手からスッとスマホを取り上げた。