「おれを含めて全ての使い魔は、人間の中から『魔女』を見分ける能力を持っています。おれの場合は、視覚でそれがわかる。そのなかから、自分の守るべき運命の魔女を探し出します。お嬢様は、十六年前、おれと同日同時刻に生まれた運命の魔女です」
稀月くんはそう言うと、少し横を向いて、首の後ろを私に見せてきた。そこには、小さな三日月形の痣がある。
「その証拠に……、ここに、痣があるでしょ。運命の魔女と使い魔には、身体の同じ場所に同じ痣があります」
「ウソ……」
「ほんとうです。写真撮って見せましょうか?」
私が髪の上から首の後ろを触ると、稀月くんがふっと笑う。
「い、いいっ……!」
稀月くんの余裕そうな笑顔を見れば、彼の言っているのがウソじゃないことくらいわかる。
「稀月くんたちの言うように、魔女とか使い魔っていう特殊な人間が存在するとして……。戸黒さんたちが言ってたRed Witchっていうのは……? 犯罪組織か何かなの? 稀月くんや烏丸さんは、警察関係者……とか?」
烏丸さんや大上さんはともかく、稀月くんはまだ高校生だ。
「うーん。その辺のところは、瑠璃ちゃんにどこまで説明すべきかだよね」
私たちの話に、稀月くんの隣に座って腕組みしていた大上さんが口を挟んでくる。
「ほとんどの場合、魔女のほうには自分が『魔女』だという自覚がないことが多い。自覚があるのはおれたち『使い魔』のほうで、早ければ、五歳くらいのときに自分が『使い魔』だってことを本能的に自覚して、運命の魔女を探す。だけど最近は、世の中が便利になってきてるし、危険も少ないから、運命の魔女を探さない若い使い魔も増えてきてて……。自分が魔女だって自覚がないままの人もいっぱいいるんだ。何も知らなければ、普通の人と変わらずに生きていけるからね。だけどRed Witchは、そんなふうに気付かずに生きてる魔女や使い魔を自覚させて、犯罪に利用してる、ちょっと厄介な組織なんだよ。特に最近は、童話の設定に見立てて若い魔女から心臓を奪って闇ルートに流すっていう、ヤバいこともやってる。Red Witchのメンバーは、その中でさらにカルドっていういくつかのグループに分かれて行動してて、戸黒はカルドのリーダーだったんだ」



