月夜の黒猫は、心を攫う


「お姉ちゃん?」

「それは、学校のお友達にもらったものみたいですよ」

 答えに困っていると、稀月くんがさりげなく助けてくれた。

 学校の友達にもらったもの……。

 稀月くんは同じ学校の同級生だから、広い意味では間違いじゃない。

「そっかあ。高校生になると、大人っぽいプレゼントをもらうんだね。茉莉のプレゼント、やっぱり子どもっぽかったかな」

 眉を下げて申し訳なさそうに笑う茉莉に、私は「そんなことないよ」と首を振る。

「茉莉が私のために考えて用意してくれたってことがすごく嬉しい。私は茉莉が大好きだもん。茉莉のためだったら、私、心臓をあげてもいい」

 そう口にしながら思い出したのは、昨夜起きた『孤独な魔女の物語』をモチーフにした事件のこと。

 あの事件やモチーフになったという童話な気になったのは、単順に怪奇的な事件だからじゃない。

 ひとりぼっちだった魔女と友達になってくれた病気のお姫様。

 物語のふたりの関係性が私と茉莉に似ていて、私には魔女がお姫様を助けたかった気持ちがわかったから。

「お姉ちゃん……?」

「お嬢様……」

 突拍子もないことを言った私を見て、茉莉と稀月くんが驚いた顔をする。

 それから、茉莉が悲しそうな顔で私の手をぎゅっと握った。