学校での一日が、今日も平穏に終わる。
昼休みに千穂ちゃんと一緒に食堂に行くときだけ、稀月くんが私についてきたけど……。
学校の中では、あたりまえに危険なんてない。
午後のホームルームが終わると、掃除の時間。
私たちのグループの掃除場所は、中等部と高等部をつなぐ渡り廊下だ。
グループのみんなと十五分くらいで掃除を終わらせて掃除用具を片付けていると、廊下の渡り廊下の窓から図書館が見えた。
うちの学校の図書館は、中等部と高等部の両方の生徒が使えるように、二棟の校舎の真ん中に建てられている。
蔵書が多くて、調べ物をするためのパソコン室も完備されてて、うちの学校の目玉的な施設だ。
私はあまり利用しないけど、渡り廊下の横の階段を降りていけばすぐに図書館のほうに行ける。
「椎堂さーん、戻らないの?」
考え事をしながら図書館のほうを見ていると、教室に戻ろうとしていた同じグループの子に声をかけられた。
「先に戻ってて。ちょっと用事思い出したから」
「はーい」
グループの子たちはあまり仲良くないし、私が別行動になっても誰も気にしない。
グループの子たちが行ってしまうと、私は渡り廊下の横の階段を降りた。
図書館で調べたいことができたのだ。