「お姉ちゃんも稀月くんも、紅茶でいい?」
「ありがとう。手伝うよ」
「いいよ、いいよ。お姉ちゃんも稀月くんも座ってて」
今日は体調がいいのか、茉莉はにこにこしながらひとりでお茶の準備をしてくれる。
しばらくすると、茉莉が紅茶のカップを三つと用意してくれたケーキ、それから私の持ってきたシュークリームを出してくれた。
「今日のおやつは豪華だね」
私の隣に座って微笑む茉莉は、とても気分がよさそうだ。
「茉莉、体調良さそうだね」
ひさしぶりに会う茉莉が、思っていた以上に元気そうでよかった。
「最近はちょっと体調いいんだ。この調子でいけば、一度退院できるかもしれないって」
紅茶のカップに手を伸ばしながら、茉莉がふふっと笑う。それから、紅茶をひとくち飲むと、「でもねえ」と、じとっとした目で私を見てきた。
「お姉ちゃんが茉莉に黙って留学行っちゃったときは、落ち込んで体調崩しちゃったんだよ」
「……ごめん」
「お母さんは、茉莉が淋しがったらいけないからお姉ちゃんには黙って行かせたって言ってたんだけど、黙っていなくなっちゃうほうがよっぽど淋しいよ。最後にお見舞いに来てくれた日から、連絡も繋がらなくなっちゃったし」
「……ごめんね」
少し不貞腐れたような茉莉の言葉に、私は言い訳もできず、ただ謝るしかない。
茉莉に、ほんとうのことは何ひとつ話せないのだから。



