「拘束されたベッドの上で目覚めたときは、もうダメかもしれないって思ったよ。だけど……、どうして私の居場所がわかったの?」

「瑠璃に渡しておいたGPSキーホルダーが役立ったんです。最初は全然検討違いな場所を捜索していたんですが、よく見ると学校の近くでGPSが反応していることに気付いて……。それで、急いで現場に向かいました」

「そうだったんだ……」

 学校内でもGPSなんて過保護だなあって思ってたけど。そのおかげで助かったらしい。

「瑠璃の居場所がわかるまで、生きた心地がしなかった。おれのほうこそ、眼を離してすみません。今日は、誰に何を言われても、一秒もあなたから離れたらいけなかったのに……」

 稀月くんがそう言って、私を抱きしめる腕に力を入れる。

「でも、助けにきてくれた」

「それは、ただの結果論です」

「それでも、助けてくれてありがとう。生きて戻ってこられて、こうして稀月くんに触れることができて嬉しい」

 稀月くんを見上げて笑いかけると、彼が困ったように眉根を寄せた。

「まだ気持ちも落ち着いてないのに……。そんな可愛いこと言わないでください」

 稀月くんの手が、そっと私の頬に触れる。あたたかい手のひらに、すりっと自分から頬を寄せると、稀月くんが耐えかねたように、私に口付けた。

 ゆっくりとそこにあるのを確かめるように、稀月くんの唇が優しく私の唇に触れる。