「愛しいあなたのためならば、心臓などすこしも惜しくありません。よろこんで、あなたに捧げましょう」 満月の夜の森で、魔女は銀の剣を静かに振りあげました。 月の光で剣はかがやき、魔女が美しく微笑みます。 「これで、いつもあなたのそばにいられます」 そう言うと、魔女は月の魔力を宿した剣で左胸をひといきに貫いたのでした。 「孤独な魔女の物語」より一部抜粋