◇Clown Act◇⇧



「え!ほんとうだ!気づかなかった!」



目をまんまるくした日下部くんが踊るように室内を見渡した。


カラフルで怪しい雰囲気漂う空間に、やはりピエロはよく馴染んでいた。



「いやお前は気づけよ。自分のクラスだろ」


「す、すみません…僕、このゲームが始まってからずっと困惑してて、怖くって…」


「……」


「正気でいるために僕なりに動いてたんですけど…や、やっぱり勇気なくて…目の前のことしか見えなかったんです…ごめんなさい……」



ガタガタと震える日下部くん。


私は急いでそばに寄り添った。


肝の座り具体が異常じゃないお兄ちゃんや
何事にも冷静な若松先輩とは違うのだ。


日下部くんの反応はなにもおかしいことじゃない。