「え!ほんとうだ!気づかなかった!」
目をまんまるくした日下部くんが踊るように室内を見渡した。
カラフルで怪しい雰囲気漂う空間に、やはりピエロはよく馴染んでいた。
「いやお前は気づけよ。自分のクラスだろ」
「す、すみません…僕、このゲームが始まってからずっと困惑してて、怖くって…」
「……」
「正気でいるために僕なりに動いてたんですけど…や、やっぱり勇気なくて…目の前のことしか見えなかったんです…ごめんなさい……」
ガタガタと震える日下部くん。
私は急いでそばに寄り添った。
肝の座り具体が異常じゃないお兄ちゃんや
何事にも冷静な若松先輩とは違うのだ。
日下部くんの反応はなにもおかしいことじゃない。



