◇Clown Act◇⇧



「この数字にも意味はあるのかな…?」


「無いとは言いきれない。とりあえず全員しっかりと覚えておけ。そして次は、ピエロが言っていたアイテムカードってやつだな」



若松先輩がズボンのポケットに手を突っ込んだ。


私たちもそれに倣うように服をまさぐる。


柔らかいフレアスカートの中に硬い感触。


取り出せば、『♦️』が真ん中にドンと
印刷されたカードが出てきた。




「なにこれ…トランプ?」


「いや、トランプではなさそうだけど…」



私とお兄ちゃんはハテナマークを浮かべて目を見交わせた。



「おい、これも確認するぞ。全員見せろ」



若松先輩の号令に合わせて、4枚のカードがいっせいに表を向いた。




私→『♦️』お兄ちゃん→『♥』
若松先輩→『♠』日下部くん→『♣️』



「みんなバラバラだ…それに、やっぱりこのマークってトランプカードが意識されてるんじゃ…」



日下部くんが言う。


声音は不安げでも、顔はにっこり笑うピエロメイクだから楽しそうにも見えてしまう。



「わぁ、見てよ祥!俺は♥だ!祥への愛がピエロたちにも伝わってるんだね。色もおそろいだし嬉しいなぁ」


「たまたまだ、お前は少し黙っていろ」



場違いな歓喜を見せるお兄ちゃんにすかさず若松先輩がつっこむ。