「この数字にも意味はあるのかな…?」
「無いとは言いきれない。とりあえず全員しっかりと覚えておけ。そして次は、ピエロが言っていたアイテムカードってやつだな」
若松先輩がズボンのポケットに手を突っ込んだ。
私たちもそれに倣うように服をまさぐる。
柔らかいフレアスカートの中に硬い感触。
取り出せば、『♦️』が真ん中にドンと
印刷されたカードが出てきた。
「なにこれ…トランプ?」
「いや、トランプではなさそうだけど…」
私とお兄ちゃんはハテナマークを浮かべて目を見交わせた。
「おい、これも確認するぞ。全員見せろ」
若松先輩の号令に合わせて、4枚のカードがいっせいに表を向いた。
私→『♦️』お兄ちゃん→『♥』
若松先輩→『♠』日下部くん→『♣️』
「みんなバラバラだ…それに、やっぱりこのマークってトランプカードが意識されてるんじゃ…」
日下部くんが言う。
声音は不安げでも、顔はにっこり笑うピエロメイクだから楽しそうにも見えてしまう。
「わぁ、見てよ祥!俺は♥だ!祥への愛がピエロたちにも伝わってるんだね。色もおそろいだし嬉しいなぁ」
「たまたまだ、お前は少し黙っていろ」
場違いな歓喜を見せるお兄ちゃんにすかさず若松先輩がつっこむ。



