◇Clown Act◇⇧



「う、うん大丈夫…。でも私、一体何が…」


「ピエロに変な機械で気絶させられたんだよ。僕たちも同じ」



そうだ。


日下部くんを庇ったらピエロが近づいてきて


首もとに電気のような刺激と痛みが走って。


それで私は──



「み、みんなは大丈夫なの…?」



日下部くんの言うことが本当なら、みんなも私と同じようにされたというわけだ。



「ぼ、僕はなんともないよ」


「俺もだ。特に問題ない。ちなみにそこのイカレ兄貴はすごかったぞ。アレを3発食らってもピンピンしてやがった」


「だって祥が心配だったから…」


「ピエロも苦労すんなこりゃ」



若松先輩は呆れたように肩をすくめた。


いくらなんでも無敵すぎる兄が一周まわって心配になってくる。



「お兄ちゃん…いつか死んじゃうよ」


「俺は死なないよ。もし死ぬなら祥も一緒」



形のいい唇が頬にふにっと押し当てられる。



「病める時も健やかなる時も──死ぬ時も
お姫様と王子様が離れることはないからね」



麗美に微笑むお兄ちゃんは、私と自身の指を絡め合った。


私はピエロなのに。


この王子が登場するおとぎ話はきっと
正しいストーリーじゃない。


そう思った。