「日下部くん?」


「着替えなくていいよ…。
こ、このまま、まわらない?」


「でも、動きづらくない?」


「橋本さん…その衣装すごく似合ってるから、も、もう少し見ていたいんだ…」




もじもじと目を伏せる日下部くん。



私のピエロ姿なんて明日も見られる。



そう返そうとしたけど、頬を染め懸命に伝えてくれているのを感じると、浮かんだ言葉が引っ込んでしまった。



べつに貶されたわけではない。



むしろ褒められている。



けど、なぜかすぐにでもこの衣装を脱ぎ去ってしまいたい。



そんな気持ちも半々だった。