「すまない、日下部くん…ていうのかな?妹とは友達?」
お兄ちゃんが間に割り込むように入ってきた。
「あ…どうも。日下部っていいます。
えっと、橋本さんとは…」
「く、クラスメイト!おまけに中学も一緒だったよね!普通に仲良しだよ!」
急いで説明を加えていく。
多分お兄ちゃんは誤解している。
小さい頃から私の異性関係にとにかく厳しいのだ。
「へぇ…そう。俺は祥の兄です。
ごめんよ不躾に」
「い、いえこちらこそ。妹さんとっても素敵な人ですね。すごく明るくて優しくて…」
「当然だよ。俺の大切な妹なんだから」
お兄ちゃんに肩を抱かれる。
口調は柔らかいが目は笑っていない。
ご法度なのだ。
お兄ちゃんの前で私を褒めるのも貶すのも。
「何見せられてんだか。
そのピエロこっちに寄越せよ」
うんざりした様子で腰を上げた若松先輩が私の腕を掴んだ。
「断る。祥は俺のだよ」
「黙れよ。そもそも俺がいなきゃコイツは死んでたんだ。大事な大事な祥チャンを助けてやった俺に礼の一つもないのかよ?」
「…そうだったのか。
ありがとう…感謝してる」
「どーいたしまして。
ほら、お前もだよヒョロピエロ」
若松先輩は横目で日下部くんを見た。



