◇Clown Act◇⇧



「すまない、日下部くん…ていうのかな?妹とは友達?」



お兄ちゃんが間に割り込むように入ってきた。



「あ…どうも。日下部っていいます。
えっと、橋本さんとは…」


「く、クラスメイト!おまけに中学も一緒だったよね!普通に仲良しだよ!」



急いで説明を加えていく。


多分お兄ちゃんは誤解している。


小さい頃から私の異性関係にとにかく厳しいのだ。



「へぇ…そう。俺は祥の兄です。
ごめんよ不躾に」


「い、いえこちらこそ。妹さんとっても素敵な人ですね。すごく明るくて優しくて…」


「当然だよ。俺の大切な妹なんだから」



お兄ちゃんに肩を抱かれる。


口調は柔らかいが目は笑っていない。


ご法度なのだ。


お兄ちゃんの前で私を褒めるのも貶すのも。



「何見せられてんだか。
そのピエロこっちに寄越せよ」



うんざりした様子で腰を上げた若松先輩が私の腕を掴んだ。



「断る。祥は俺のだよ」


「黙れよ。そもそも俺がいなきゃコイツは死んでたんだ。大事な大事な祥チャンを助けてやった俺に礼の一つもないのかよ?」


「…そうだったのか。
ありがとう…感謝してる」


「どーいたしまして。
ほら、お前もだよヒョロピエロ」



若松先輩は横目で日下部くんを見た。