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空気が張り詰めたまま突入した休憩タイム。
スピーカーからはゆるりとした
『オクラホマミキサー』が流れてきた。
「はぁぁぁ…」
全身が脱力して、しゃがみこむ。
ものすごい疲労感だ。
「よく分からんが、一区切りついたみたいだな」
若松先輩が隣にあぐらをかく。
いつも涼しげな表情にも疲れが滲んでいた。
「若松先輩、さすがでしたね」
「はっ、嬉しかねーな」
細められた目は、血に染まった校舎に向けられていた。
普段からいじわるで冷静な若松先輩だけど、地獄に様変わりしたその光景には堪えるものがあるのだろう。
まさに青天の霹靂。
理不尽に始まったゲームに、この先いやでも立ち向かっていくしかならないんだ。
怖くてたまらない。
縋るように若松先輩に手のひらを重ねるれば、なんにも言わず握り返してくれた体温に涙が出そうになった。
「大丈夫。絶対に大丈夫だ」
先輩らしくない不確実な言葉。
私のためでもあり、きっと自分自身のためでもある言葉。
震えを誤魔化すみたく、空いている方の手に爪を立てた。
雲一つない秋晴れだった。



