◇Clown Act◇⇧






空気が張り詰めたまま突入した休憩タイム。


スピーカーからはゆるりとした
『オクラホマミキサー』が流れてきた。



「はぁぁぁ…」



全身が脱力して、しゃがみこむ。


ものすごい疲労感だ。



「よく分からんが、一区切りついたみたいだな」



若松先輩が隣にあぐらをかく。


いつも涼しげな表情にも疲れが滲んでいた。



「若松先輩、さすがでしたね」


「はっ、嬉しかねーな」



細められた目は、血に染まった校舎に向けられていた。


普段からいじわるで冷静な若松先輩だけど、地獄に様変わりしたその光景には堪えるものがあるのだろう。


まさに青天の霹靂。


理不尽に始まったゲームに、この先いやでも立ち向かっていくしかならないんだ。


怖くてたまらない。


縋るように若松先輩に手のひらを重ねるれば、なんにも言わず握り返してくれた体温に涙が出そうになった。



「大丈夫。絶対に大丈夫だ」



先輩らしくない不確実な言葉。


私のためでもあり、きっと自分自身のためでもある言葉。


震えを誤魔化すみたく、空いている方の手に爪を立てた。


雲一つない秋晴れだった。