それから私たちは、急いで第一グラウンドへと向かった。



「見えたぞ!」



若松先輩の指さす先には生徒たちの塊。


そして、朝礼台ではピエロがくるくると踊っていた。


私たちの他にも、たくさんの生徒たちがゴールを目指して血眼になりながら走っている。





『残り10秒~!

サァみんなで数えよう!


10!9!8!』





群衆への距離は数十メートル。


ギリギリ間に合うかの瀬戸際だった。


まずい…!





「祥!!!」



声とともに手をぐいと引かれる。



その瞬間、速度が一気に上がった。



「わ、若松先輩!」



大きな背中が眼前に現れ、私を導いた。



「絶対クリアするぞ!死んだら許さない!」



ぎゅうと手に力を込められ、胸が熱くなる。





『5!4!3!2!』





死のカウントダウン。


愉しげなピエロの笑い声。





負けてたまるか…!


若松先輩の手のひらを強く強く握り返した私は






『1───!!』








群衆の中に、勢いよく飛び込んだ。