いいから走れと指摘されるかと思えば、流し目をこちらによこしてきて
「多目的室は、お前のクラスが出店しているところだろ」
「あ、はい…」
「道化なんてしているお前をからかってやろうとのぞいてみたらどこにもいなくてな。探しに行こうと思っていたところにあの放送が流れたんだよ。あとは、知らん」
「………」
「お前を見つけなきゃ、出られない。
…ただ、それだけだ」
ぷいっとつれない態度で視線をそらされる。
頬が、熱い。
「先輩…それってまるで」
「うるさいぞ。文句あるのか。
これ以上言うならデコピン100回の刑だ」
"私のことを心配して走ってきてくれた"
自惚れてしまいそうになり「すみません!」と返して足を前に進めることに集中する。



